14人が本棚に入れています
本棚に追加
グ、ヴィィーン。
金属が擦れる嫌な音がして、その古い箱は動き出した。
「やば、吐きそ・・・・」
マリは口を手で押さえる。
体感で下へ降りて行ってるのがわかる。
知らない場所へ連れて行かれてる恐怖にまた吐き気をもよおす。
ガッチャン。
ドアが開いた。
クラクラする頭を引きずるように、廊下を歩く。薄暗い廊下にブルーの光が見える。
その仄かにブルーが零れている所に引き寄せられるようにマリは歩く。
光の下に女がいた。
金髪のショートヘアで真っ赤な唇にピアスがぎっしりと並んでいる。
女はマリを見て微笑みポケットから何かを見せる。
"いる?50ドル"
「なに?」
女は真っ赤な唇の間から真っ白な歯を見せた。
"気持ちよくなるには安いでしょ?"
マリは首を振る。
「いらない。ドラッグでしょ?それ」
女の高笑いが薄暗い廊下に響いてマリはビクッと肩があがった。
最初のコメントを投稿しよう!