4章

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 すずらんはみみずくの方へ顔を向ける。 「少なくとも、みみずくは否定するタイプではないわ」  みみずくはうんと頷く。 「多分、あなたは占部瀬里香と浩平に美人局をやるように言われた時、これを機に逃げようと思ったのでしょう」 「はい」 「上司の私がいうのもあれなんだけどね。みみずくは、電車や写真の話ばっかで、女心や人の機微(きび)(うと)いところがある。でも好きな人の振り向いてもらおうと努力している。嬉しそうにあなたとのやり取りを話していた。否定の言葉なんて全くなかったわ。本当に嬉しそうなの。私たちに流行りのスポットやトレンドを聞いてきたり、ネットで調べたりしていたの。全てはあなたともっといたいからよ」  すずらんの話を聞いていくうちに瑠実菜が泣き止んで、真剣に聞いている。 「だからね、胸張っていいのよ。もうここであなたを否定する人はいないの。受け入れてくれてる人がいるじゃない」
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