1章

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 家族に彼女を紹介して気に入っていた。いい感じだった。  それが「女性の夫」と名乗る男性が出てきたことで全て台無しになった。  もしかして、教えてもらったプロフィールも嘘ついてるのか? 独身と偽っていたなら、他も怪しい。  一体どこからどこまで嘘なのか?  数年ぶりの彼女ができて舞い上がっていた。大学時代から四年間付き合ってた元カノとは、婚約の最中に相手の浮気で別れた。  『あんたは真面目すぎておもしろくないの。今彼はぐいぐい来るから頼もしいの。お金もあんたよりあるし』  嘲笑するように言われた言葉が心をえぐる。  今度は自分が知らないうちに不倫の片棒(かたぼう)を担いでいた。    ――あなた、二十代のうちは女難(じょなん)が続くわ。彼女に浮気されたり、知らずに既婚者と関係もつわ。  大学時代友人とノリで行った占いの館のおばちゃんに言われた。
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