1章

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 当時は「そんな訳ないだろ」と信じていなかったけど、おばちゃんが言ったことが本当に起きている。  笑えない話だ。おばちゃん、馬鹿にしててごめんなさい。あなたの言う通りになりました。  家族に紹介した際、同席していた兄の嫁から「あの子ちょっと苦手かも。なんとなくきな臭いから気をつけたほうがいいかも。引き返すなら今のうちよ」「私に対してなんとなく敵意を感じたの。多分同性が嫌いだと思う」と言われたことを思い出した。  今、思うとそういうところあったかもしれない。  兄の嫁になんとなく突き刺すような視線を向けていたような。  占いの館のおばちゃんも、兄の嫁が言ったことはこれなのかもしれない。  足がガクガクしてへたり込むように座る。 これ、大人しく払わないといけないのかな。  上司に相談して考えよう。  ――恋愛は所詮砂上(さじょう)楼閣(ろうかく)にすぎなかったのだ。
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