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 慌ててお水を一口飲み、何とか平静を保つ。店内を見回し私のいるテーブル席の方向に歩いてきた。その姿をドキドキしながら目で追っているとパッと目が合う。王子様も私に気付いたようだ。驚いたような表情になり「うわっ」と口元が動いたのを見逃さなかった。みるみる表情が強張っていく。  いや! ちょ、ちょっと待って?  会えたことは嬉しいけど、明らかに私を恐怖の対象として見ている気がしてならない。その証拠に、距離を取るように数歩後退りをした。そして踵を返すとドアに向かい、お店を出て行ってしまった。  窓からは王子様が怯えたような様子で私にチラチラと視線を向けているのが見える。  え……。完全に避けられてるよね。  でもどうしてそんな態度を取られるのか、わからない。 「あの。例えばですよ? 例えば、たまたま喫茶店で会った人に通勤電車で会ったら、どう思いますか?」 「うーん、奇遇だなって思うかなぁ」 「頻繁に会ったら?」 「えー? ちょっと気持ち悪いかも。滅多にそんな偶然って起こらないでしょう?」  お昼休みが終わる頃、平瀬さんに聞いてみると苦笑いでそう返された。  そっか、気持ち悪いって思うんだ。 「月宮ちゃん、誰かに付き纏われてるの? ストーカー?」
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