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「すみません、何でもない……です」 「金曜日、いいんじゃない? 客足もいいしさ」 「でも今回はターゲット層の行動からして、土日の方がいいんじゃないですか?」 「そ、そうですよね」  その後は気を引き締めて仕事に集中した。  そして迎えた金曜日。お気に入りのスカートを選び、いつもよりも丁寧に髪を整える。  あれから電車でも会うことはなかったし、もしかしたら、もうあの喫茶店にも来ないかもしれない。それでも今日は、お昼にあの喫茶店に行くと決めていた。 《おはよう。今日のお昼、久しぶりに社食に行かない?》  朝、電車に乗ると玲からメッセージが入った。 《おはよう。今日は喫茶店のオムライスが食べたいんだよね。いい?》 《いいよー。じゃ、お昼に》  了解、とスタンプを送る。  お昼休みになるとすぐにメイクの確認をして玲とのいつもの待ち合わせ場所であるエントランスに向かった。 「お疲れ様」 「おつかれー。なんか久しぶりだね。桃香と会うの」  小さめのトートバッグを下げた玲と話をしながら喫茶店に向かう。 「本当だよ、ずっと聞いて欲しい話があったのにさー」 「そうなの? 〈LINA〉してくれればよかったのに」 「そうなんだけど……」
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