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説明も長くなってしまうし、そこまで重要でもないからと気が引けていた。喫茶店に入りテーブルにつく。
来るかなー、来ないかなー。
ずっとソワソワしながらお店の出入り口を見ていた。向かいに座る玲が見兼ねたように「何? どうしたの?」と聞いてくる。
「ちょっと人が来るの待ってて。……待ってるっていうか、来ないかもしれないんだけど」
「ん?」
「後で話す。とりあえず食べよう」
もし王子様が現れたら追いかけて呼び止めてでも誤解を解くつもりだ。その為にも早めに食事を済ませておきたい。
「でもさ、これだけ会うって、やっぱり運命だと思うんだよね」
食事を終えると、2週間前からのことを洗いざらい玲に話した。
「それは……ストーカーだと思われても仕方ないかなー」
「えぇ? そうなの? 電車は私が後から乗るからそうかもしれないけど、ここは向こうが後から来るんだよ?」
「待ち伏せしてるって思ってるかもしれないよ? 実際、今だって待ち伏せしてるんだし」
アイスコーヒーを飲みながらサラッという玲に痛いところを突かれ、項垂れる。
「だって、勘違いされてるの嫌なんだもん」
「わかるよ、桃香の気持ちは。ただ事実、そうなっちゃうじゃん?」
「そうだけど……。……っ! 来た!」
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