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「かなり前から電車の中で僕のことを見ていたんですよね。この店で見かけてすぐにわかるほど覚えていたようですから」 「まぁ……そう……なんですけど……」 「今だってこうして追いかけてきてるし」  そうなんだけど……。  返す言葉が見つからない。 「と、とにかく、あなたに付き纏っていませんので誤解を——」 「だから、その言葉をどう信じろと?」  尚も強い言葉で明らかに不愉快そうに視線を投げられている。だんだんこの状況に苛立ちを感じてきた。何でここまで私が責められないとならないのだろうか。少なくともこの喫茶店で会ったことは偶然なのに。 「じゃー、どうしたらいいんですか? どうしたら信じられます?」  思わず喧嘩腰に言い返してしまった。 「そうだな……これから1週間、僕と一切会わなければ偶然だと信じてあげますよ。付き纏ってないなら簡単ですよね。見ず知らずの人と何度も会うことが、そもそもおかしいんですから」  なんか、すごい上から目線。まぁ仕方ないんだけど。 「わかりました」 「では、失礼」  冷たく言い放ち振り返ってその場を去っていく王子様。……いや、もう王子様と呼ぶのもやめよう。王子様なんかじゃない。  はぁ……運命だと思ったのに。
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