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「どう? 王子様の件は順調?」 「なんとか。今のところ会ってない」 「よかったじゃん。大丈夫だよ、きっと」  お昼休み、社食で玲と話していると——。 「阿久津ちゃん、明日だよ? 忘れてないよね」  同じテーブルで食事をしていた営業部の真野さんが玲に話しかけた。 「わかってますよ。行けばいいんですよね」 「阿久津ちゃん、気に入られたねー。よかったじゃん」 「どうですかね。ああいう人、私はあんまりタイプじゃないですけど」  そっけなく言いながらグラスに入ったお水を飲んでいる。 「ねえ、月宮さん、金曜日って空いてる? 空いてるよね?」  真野さんが急に私に話を振ってきた。きっと「お食事会」のお誘いだ。 「だから、桃香は運命的な出会いを求めてるから誘わなくていいって言ってるじゃないですか」  玲がやれやれという感じで間に入る。 「だって『藤城エージェント』だよ? 大手広告代理店だよ?」 「桃香はそういうステータスも興味ないですって。大手広告代理店より電車で毎日見かける素性の知れないイケメンの方がいいんですから」  それはその通りなんだけど……。 「たまには来ればいいのに。もったいないよ。『藤城エージェント』だよ?」
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