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「——運命だと思うんだよね」  会社の近くの喫茶店で昼食を食べ終え、ミルクとシロップをしっかり入れたアイスコーヒーを飲みながらポツリと溢した。  〈カフェ〉ではなく〈喫茶店〉というのがポイント。路地を少し入ったレトロなこの喫茶店は、オフィス街のお昼時だけど比較的静かに落ち着いて過ごせる。トロトロ卵のオムライスが美味しい穴場のランチ場所だ。 「またそれ? 桃香、安定の夢見る夢子ちゃんだね……。もうそろそろ卒業したら? 今年25でしょ?」  私の向かいに座り、心底呆れながらブラックのアイスコーヒーを飲んだ同期の玲。黒髪のショートヘアが抜群に似合うサバサバしたカッコイイ系女子だ。ゆるふわセミロングで可愛い系女子を目指している私とは対極にいる。あくまで可愛い系女子を『目指している』だけで、見た目はそんなに自信がない。 「いや、今回は本当に! ……運命だよ、うん」  今一度、冷静に思い返してみても運命で間違いないと思う。 「えぇ? 誰?」 「前から話してる人。『王子様』」 「あぁ、また例の『王子様』の話? 朝、電車でよく会う超タイプの男だっけ?」  その通り。
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