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「どんな理由でもいいでしょう? たまには真野さんのご厚意にも甘えないと」
「よく言うよ」
呆れたように言う玲と別れ、午後も仕事をこなした。
そして「1週間」という期日の最終日になった金曜日。電車の中では会わなかったし、お昼休みも先輩方と社食で済ませた。きっともうあの人と会うことはない。
これで付き纏ってないって信用してもらえたよね。
あの人と会えないことに少しだけ寂しくなりながらも、よかったと胸を撫で下ろした。
社食を出ると「コーヒー買ってこよう」という平瀬さんの言葉が聞こえ、私も有名コーヒー店の美味しいカフェラテが飲みたくなってきた。
「私も一緒に行ってもいいですか?」
「うん。一緒に行こう」
エレベーターで1階に降り、すぐ隣のビルの1階にある有名コーヒー店に入る。買い物を終えて本社ビルに戻る途中、見覚えのある横顔が目に入った。
え! ちょっと! なんで?
あの人だ。グレーのスーツ姿で大きめのビジネスバッグを手に、こちらに向かって歩いてくる。
「ひ、平瀬さん。急ぎましょう」
「え? なんで?」
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