01

3/44
764人が本棚に入れています
本棚に追加
/399ページ
 大学を卒業して今の会社に入社してから3年。ほぼ毎日、同じ時間の同じ車両に乗り合わせている王子様のような男性がいる。王子様とは、説明するまでもなく見た目が王子様なのだ。180センチはありそうな高身長で、いわゆる塩顔。10人中少なくとも9人がカッコイイと言うであろう男性。うまく説明できないのがもどかしいけれど、とにかく超タイプで「はぁー、カッコイイ」と、いつも目の保養をしている。  王子様と私は終点の駅まで同じ車両に乗り合わせる。時間にして約20分ほど。終点の駅に着き、降りたドアの近くの階段を下る。日によって私が前を歩く時もあるし、王子様が前を歩く時もある。改札を抜けて左側に進む私と右側に進む王子様。王子様がその後どこに行くのか全く知らない。ちなみに私はそこから乗り換えをして2駅で会社がある駅に着く。 「……実は電車以外にも接点があってね」 「え! なにそれ。初耳」  目をキラキラさせて興味ありげに反応している。 「もうすぐ、ここに来るよ。多分」 「えー! なになに? あぁー、だから久しぶりに一緒に社食行こうって言ったのに『今日は喫茶店でオムライス食べよう』って誘ったのかー」  ついさっきまで『夢見る夢子ちゃん』と呆れていたのに目を輝かせて大袈裟に納得した。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!