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「足枷って……。キャリア積んでる人で結婚してたり子供いる人もいるよ? 玲ならその足枷を引きちぎって昇り詰めれるんじゃない? 難しく考えたり悲観したりしてないで、好きな人と一緒に居たいなら居ればいいんだよ」  ……ヤバイ。言い過ぎたかも。  つい、踏み込んだことを言ってしまった。 「……って、上から目線でごめ——」 「……確かにキャリア積んでる人で結婚してる人もいるよね……。子供が出来たら、どうだか分からないけど……。でも『何とかなるよ』とか言いながら何とかするの、かも……」  腕を組みながら、なにやらブツブツと言っている。よく分からないけど怒らせていないようでよかった。  それから1週間後、私は「退職願」を会社に提出した。上司は「あ、辞めちゃうの? 残念だなぁ」と言っていたけど、わかりやすく口元が綻んでいた。 「月宮ちゃん! 辞めるって聞いて……。何かあったなら相談してくれたら良かったのに」  すぐに平瀬さんまで話が伝わったらしく泣きそうなほど悲しそうな顔で私の元にやって来た。 「あ、違うんです。……結婚することになって」 「え! そうなの? ……でも、結婚しても仕事は続けられるよ? ここまで頑張ってきたのにもったいないんじゃないかな」
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