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「月宮ちゃん! 今度じーっくり話聞かせてね。絶対だよ!」と仕事に戻った平瀬さんに「わ、わかりました」と笑顔を貼り付けその日は別れた。
後日「いつから付き合ってたの?」「何で別れたの?」「私が『葉山さんいいな』って言った時、どんな気持ちだったの?」と質問攻めにされたことは言うまでもない。
そうして3月末、会社を辞めると結婚式の準備が本格的に始まった。
「仕事は結婚式が終わってからでいいんじゃないのか」と言う彼に甘え、しばらくは家事をして1日を過ごす毎日を送っていた。
「ただいまー」
「あ、お帰り」
「今日は揚げ物? すごいな。揚げ物家でするなんて。後片付けとか大変じゃないか?」
「ううん。……家にいると時間がものすごく余って……」
正直、時間を持て余している。
「そうか。俺は甲斐甲斐しく世話してもらえて助かってるけどな。家事、何もやってないし」
ニヤッと嬉しそうにしながらテーブルに着いた彼。
「楽? 専業主婦のお家ってこうやって旦那さんを支えてるんだろうね。……それにしても暇だけど」
「俺はすげぇ楽。贅沢。……せっかくだから資格とか取ったら? 難関資格とかにチャレンジしてみるとか。時間持て余してるんだろう?」
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