待ちわびた客人

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 この呪われた館で、私は執事のセバスチャンとともに長い時を過ごしてきた。  そう。この館なかには時の流れが存在しない。  それはかつての愚かな私が望んでしまったもの。  美と若さを失いたくなかったあの頃の私が犯した、愚かな選択。 「本当にごめんなさいね、セバスチャン」 「もったいなきお言葉に御座います。お嬢様」  あの頃と全く変わらず、セバスチャンは私に尽くしてくれる。  今やただの執事ではない。この世に二人きりの盟友という感じさえある。  同時に彼に対する申し訳なさは止めどなく降る雪のように、私の心に積もっていく。  あの頃の自分を叱責できるものなら、すぐにでもしてやりたい。 「これは愚かな選択をした者か当然受けるべき報いね。けど、それももうおしまいにしましょう。彼は、ここへ来るのね?」 「使いのものを向かわせましたゆえ、まもなくかと……」 「ありがとうセバスチャン。私のこと、恨んでいるでしょう?」 「滅相もございません」  セバスチャンの顔にはほんのわずかな揺らぎも見えなかった。  それがかえって私の胸を締め付ける。
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