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「なんだこれ、壊れてる?」
今は2021年のはずなのに、カレンダー上では2018年、三年も前の日付になっている。
予定が入っている日があったのでタップしてみると、そこには『同窓会』と書かれていた。
そうだ、三年前の同窓会。
あれが、翼に会った最後の時か。
あの時、仕事がうまく行かなくて残業になって、結局二次会からの参加になったんだった。
クラスメイトの半分以上がいなくなっていて、会いたかった友達全員には会えなかった。
翼とも確か、二言、三言くらいしか話せなくて──。
何を話したのか、ほとんど覚えていない。頭の中は半分やり残した仕事のことで埋まっていて上の空だったんだ。
「伯崇って、いつもそうだよね。肝心な時にいつもいないの」
呆れたように、そう言われたな、確か。
すっかり忘れていたはずなのに、何故かそのセリフだけポンと飛び出すように頭の中から出てきた。それに引っ張られるようにして、あの日の翼の顔も浮かび上がってくる。
あの時の翼の様子、なんだか変じゃなかったっけ。瞳が濡れていたような。
酒を飲んだせいだろうと思い込んでいたけど、本当にそうだったんだろうか。
なんだか急に気になってきた。
この時に戻って、確かめられたらいいのにな。
何気なく「同窓会」の文字をタップした次の瞬間だ。スマホから尋常じゃない光が溢れ出し、俺の視界を遮った。
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