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小さい頃、私には仲良しの子がいた。
静ちゃんって子。
とても大人しい、そんでもってどこか品があるそんな感じのかわいい子だったって記憶してる。
仲良しになったキッカケは幼稚園にあったオルガン。
ピアノ習ってた静ちゃんから私は音楽を教えて貰ってたんだ。
遊びを共有する。
音楽や砂遊び、ままごとも追いかけっこも。
毎日一緒だった。
とある日、砂遊びしてた私達にお山の大将的な子が道具を横取りして私達の楽しみをぶち壊してきた。
勿論私は大泣き。
私は当時跳ねっ返りでお転婆だったけど泣き虫だった。よく笑いよく泣く。そんな子供らしい子供だったような気がする。素直な子供だった。
静ちゃんは大人しいのに泣かない。今思うと執着しなかったのかもしれないけど別の遊びを提案してくれて私の意識がそちらの方に自然と向くようにしてくれていたような感じだった。無意識だと思うけど、意図的だったなら物凄く成熟した子供だなぁと成長した私は思う。当時はこんな考え方出来なくて分からなかったけど。
私は静ちゃんが大好きで、一緒にいるのが楽しくて、毎日が『静ちゃん』で出来ていた。
静ちゃんと一緒にいるのが当たり前、自然だったのだ。
だけど、そんな日常も時が過ぎれば当たり前ではなくなる。
静ちゃんが目の前からいなくなる現実を突き付けられた。
静ちゃんが私立の小学校に進学する事になったので、当然別れがきた。
そんな先の事を想像出来ない私に、静ちゃんが卒園式の日にある謎の別れの言葉を残すのだった。
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