大切な思い出とともに

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【よこはまこくりつだいがくけーざいがく】 古びたノートに呪文のような平仮名の羅列。 幼稚園卒園したての子供には初めて聞く言葉。分かるのは横浜と大学位。勿論大学自体を知ってるわけでもなく小学校があるなら大学もあるだろうとぼんやりした理解。 決して綺麗な字とは言えないミミズのような羅列した文字。忘れないように書いたんだろうなと幼かった自分にほっこりした気持ちになる。 やさぐれた気持ちになった時、必ずこのノートを開く。それはもう日課のようなもの。強いて言うならご飯の前の「いただきます」と同列のような行為だった。 「おかあさん!よこはまだいがくけいざいがくっていくにはどうしたらいいの?」 小学校に通う前の幼稚園卒園したての私の言葉に母はびっくりしていたような気がする。 父も食事中だったのでいた。あまり会話しない人だったけど、突然言い出した私に驚愕したのか箸を落としてしまったようだった。 毎日『静ちゃん』の話しかしてなかったような子供だった私の変化に両親は驚いていた。 『静ちゃん』以外にも興味が出来たことが嬉しかったからか、なりたいと言う気持ちが明白で教えやすい状況だったからかは今の私には分からないけど。 母はにっこり「勉強頑張ればいいよ」と。 父もそれに頷いた。
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