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4 そんな強引な
私には子供の頃からの大の仲良しがいる。いつもずっと一緒にいた。
そう、雨の日も風の日も晴れた日も曇りの日も。春も夏も秋も当然冬も。
そしてそれが当り前のことだと思っていた。
「それでさぁ、告白しようかと思ってるんだけど、萌はどう思う?」
「どう思うって聞かれても、がんばれ~としか」
「応援してくれるの?」
「まぁね」
「じゃあ、告白するのについてきてくれる?」
……!
「なんで私が!?」
「だって1人で言う勇気ないし、幼馴染みの萌が一緒なら俊くんもいい返事をくれるかもしれないし」
「いやあ、それはちょっとご勘弁」
両手のひらを顔の前で合わせて断ったつもりだけど?
「じゃ、お昼休みに屋上に俊くんを連れてきてね」
そんなに満面の笑みを浮かべられても。そのヘンの男子ならイチコロに、こてんぱんにハートをやっつけられるような微笑みを向けられても……。
「ってか、私断ったんですけど!」
「私の辞書に『ノー』という文字はありましぇーん」
「え、あ、ちょっと美咲!」
はあ、美咲の強引さはいつものこととはいえ、今回ばかりはなんとも。
結局のところ美咲の告白タイムのために、私が俊を屋上に呼び出すってこと?
世話が焼けるけど、強引で腹が立つときもあるけど、なぜか憎めないんだよな。
仕方がないな。親友の頼みならひと肌脱ごうか。
教室に俊の姿を探した。
窓辺にもたれて男子たちと談笑している。
なるほど、よく見ればまあまあイケメンかな?
「俊!」
「おう。どした?」
「ちょっと」
と手招きして廊下に出た。いくらなんでも他の男子の前でする話じゃあない。
「んで?」
「あのさぁ、お昼休みに屋上に来てくれないかな?」
「なんでまたそんなところに」
「ちょっと」
「決闘の申し込みか?」
「はあ? ホントは決闘くらいしてやりたいけど、今日はちょっと話があるから」
流石に親友が告白したいって言ってるから、屋上に来てくれなんて言えない。
「話なら今聞くけど」
「こんなところじゃ言えないのっ!」
「わ、解ったよ。昼休みだな」
そう言うと俊はまた友人との輪の中に入っていった。
そしていよいよお昼休みがやって来た。
俊は約束通り来てくれるのだろうか。
美咲と私は階段を上り、恐る恐る屋上のドアを開けてみると……。
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