僕は向日葵の様な叔父さんに恋をした

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 僕に股がった太一は、何度も優しくキスをしてくる。徐々に激しさを増すが、執拗いくらい僕の様子を窺うんだ。  太一はとても優しい。いつだって僕を気遣ってくれる。キスだけでヘロヘロになった僕を見て、ふわっと微笑んだ。  そして、細い僕の腰を掬うようにそっと抱き上げ、僕を膝の上に座らせる。 「いいのか? こんなオッサンだぞ? それにほら、男だぞ。お前こそ、ちゃんとわかってんのか?」 「ん····わかってるから悩んでたんだよ。でも、気づいたんだ。男とか女とか、そういうんじゃないんだって。太一に惹かれて、太一を好きになったんだ。懐いてるとか、そういうんじゃないのもちゃんとわかってるから大丈夫」 「お前、ホントにしっかりしてんね。なんか俺の方が安心しちゃうじゃないのよ」 「太一は大人だけど、ホント子供だよね」 「なんだそれ、はははっ」  ちゃんと太一と話をして、お互いに安易な気持ちではないと確認した。そのうえで、改めて恋人になろうとキスを交わした。  しばらくは秘密の恋人だ。わくわくドキドキってこういうものなのだろうか。  その夜、上手く眠れない僕達はたくさん話をした。今まで誰とも、こんなに話をした事はなかったと気づいた。  酒も飲んでいないのに太一は、乙女の様に恥じらいながら僕の好きな所を語る。素直な所や一緒に居て落ち着けるところ、コミュ障のクセにまっすぐ見つめてくる瞳が好きなんだとか。恥ずかしすぎて、暫くまともに太一の顔が見れなかった。  僕達の関係だが、自然にバレるまでは内緒ということになった。わざわざ言うことでもないし、正直説明とか面倒だと意見が一致した。  これまでのお互いの事も、全てと言っていいほど語り合った。とにかく多かったのは、母さんの話だった。  太一は少し年の離れた母さんに可愛がられ、まるで息子のように育てられたそうだ。色々聞くうちに、母さんが悪い人じゃない事はわかった。  女手一つで、僕を立派に育てなくちゃいけないという、強すぎる責任感の所為で精神的にまいっていたらしい。全てがちょっと上手くいかなかっただけなんだ。これがわかっただけでも、随分な儲けものだ。  僕達は、いつの間にか手を繋いでいて、互いの温もりに心を委ねながら眠った。
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