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【2人の道】 1 岐路に立つ
「なぁノブ、課題終わった?」
「とりあえず全部やった。」
「じゃ今度ある就職説明会、出る?」
「ん~、まぁとりあえず一度ぐらいな。出ておくかな。」
ソファーに座ったノブの前方狭いスペースに腰を下ろして俺はローテーブルで残っている課題をこなしている。
こんな狭い場所でわざわざ作業しなくても良いのだけれど、ノブの存在を感じることが出来るこの距離が2人のお気に入りなので、ノブがソファーに座った時は横に腰かけるのではなくノブの前の足元に腰を下ろすことが常となった。
ノブは無意識に俺の髪に触れながらスマホを弄っている。
その優しい手つきに思わず笑みが漏れる。
「何だよ、ヒロ。何か良いことでもあったのか?」
「え?」
「だって嬉しそうだぞ。おい、何があったんだよ。」
「何にもないって。本当だよ、何にもないよ。」
「怪しいなぁ。隠し事なんてするなよ。」
「本当、本当だからっ。ちょ、首、くすぐったりしないで。」
髪を撫でていた手が今度は俺の首に巻き付いて擽りだす。首に触られると擽ったいそれとは別に、違う感覚も呼び起される。
「んっ…。」
ピクッと身体が震えると共に、微かな声が漏れる。そんな声をノブが聞き逃すはずもなく、一瞬止まった手が今度はもっと明確な目的をもって蠢く。
「ちょっ…ノブっ。やめろって。」
俺はまだ課題が終わってないのに。ノブに触れられるとグズグズになってなし崩し的に身体を重ねてしまうこともしばしばだ。
ノブはそれを分かってやってる部分があって、そんな所も経験値の差かな、と少しモヤモヤした気持ちのまま考える。
「んっ、ちょっ、俺、まだっ課題っ。」
「後で手伝ってやるから。…なぁ、少し付き合って。」
後ろから耳元で囁かれる。ノブの低い声に色気が加わって腹の奥の方がぞわぞわとする。
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