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「俺はヒロの考えてる事は分かり過ぎる程分かるんだよっ。恋人からのお願いなんだから聞かないわけないだろう。」
「ノブぅ・・・声抑えてくれよぅ・・・。」
ここで暴露されるわけにはいかない。
俺の大学ライフはもう少し続くのだ。出来るだけ穏便に過ごしていきたい。
そう思った俺はとにかく目の前のイケメン達から離れる事で危機を回避することにした。貰えなかったから揚げが残念ではあるけれど、それでもこのままこの場所にいては人目を引きすぎる。
「お、俺っ。先に次の教室に行くからっ。こ、小島っ。先行くなっ。」
「お、おいっ。もう少しだからちょっと待てって。」
「ノ、ノブもっ。悪いな、そう言う事だからっ。あ、食器片づけておいてね、お願い。」
「え?ヒロ、な、何でっ?」
2人に何も言わせないまま俺は踵を返す。
去り際にノブの耳にこそっと呟いた言葉は聞こえただろうか。
『恋人のお願いは聞いてくれるんだろう?』
ノブの赤くなった耳をチラリと眺めながら、今日の夕飯はから揚げにしようと頭の中で考えた。
おわり
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