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顔立ちもどこかぼくたちの知っている女の子と違っていて、その頃、母さんに聴いた話だと、母親が南米の人だったそうだった。
夢の中でも彼女はぼく達の奮闘を涼しい顔で切り抜け、ゴールを決めていた。
そうだ。
その女の子こそ、ぼくが出会う「夜ごとの美女」に違いなかった。
けれど、そんな偶然があるだろうか。
彼女は中学に上がった所でサッカークラブを辞め、引っ越して行ったのだ。二人ともが、生まれた場所でもないこの町で、夜中に偶然会ったりするものだろうか。
ぼくはきっと疲れている。そうやって、夢の中の事と現実を結びつけているのだ。どこか感傷に逃げているのかもしれない。
夢の終わりで、サッカーのユニフォームを着たあの子が夜ごとの美女に変身して、思わせぶりな笑みを見せて泡のように消えた。
寝起きは最悪だった。
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