メグちゃん

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 ぎょっとして声の聞こえた方を振り向くと、そこにはベッドがあり、壁にもたれかかるようにして、あのぬいぐるみがいた。  そのときYは確かに、「目が合った」と直感したという。 「え、なに……?」 「いいなあ、いいなあ」  また聞こえた。メグちゃんが帰ってきて、どこからかイタズラをしているのかとも思ったが、玄関のドアが開く音などは聞こえなかった。それに、声は確かに、その部屋の中、ぬいぐるみから発せられていた。 「いいなあ、いいなあ」  また声がして、Yの体が恐怖で緊張する。  メグちゃんに似てはいるのだが、微妙に違う。 「これ、食べたいの……?」  Yは、やっぱり子どもだったのだろう。怖がりながらも、どこか純粋な気持ちがあって、自分の分しかないケーキを、ぬいぐるみに差しだそうとした。  すると、 「違うよー」  もどかしげな声。それと同時に、部屋のドアがノックされた。
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