Eighth

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挙式の後は、会場をホテルに移して披露宴が始まる。 相田……じゃなくて眞宏の好意で、綾人さんの隣に私の名前があった。 控え室で眞宏にウィンクされたのは、これだったようだ。 つつがなく進行されていく披露宴。 余興に笑い、友人代表スピーチでほろりと感動し。 サプライズで新郎新婦の共通の友人からのムービーにはもらい泣きしてしまった。 両親への感謝の手紙では、もはや親族並みに号泣してしまった。 「……お前、泣きすぎ」 「だ、だって……感動してっ……」 「お前友達枠じゃないからな?ここ会社関係者席だからな?」 「そういうことは言わないでくださいっ……感受性豊かなだけですっ」 綾人さんも呆れるくらいの号泣っぷりに、よく知っている営業一課の社員達からも笑われる。 お色直しで着替えたマーメイドタイプのドレス姿が似合いすぎて、私が眞宏に惚れそうになったりもした。 その度に綾人さんが何とも言えない表情で見つめてきていた。ヤバい奴を見るような目はやめていただきたい。 そして披露宴も佳境を迎え、ブーケプルズが行われる。 ……と思ったら。 そのまま披露宴は終わりを迎えて写真撮影の時間になった。 「金山!」 私の姿が目に入った瞬間、嬉しそうに私を呼ぶ。 「かーなーやーま!」 と返事をしない私に再度声をかけてきて。 「おめでとう」 「ありがとう」 「今度から、眞宏って呼ばないとなあって考えてた」 いつ慣れるかはわからないけども。 「えー?金山はいいよ、相田のままで」 「いやよくないでしょ」 旦那さん的には良い気分じゃないでしょ。そう思って横に座る保さんに視線を向けると、 「いいんじゃない?俺は気にしないよ」 「ほら」 ……似た者夫婦のようだ。 「でも私が気にするから」 「そう?わかったよ。なんかムズムズするけど」 ふはは、と笑った眞宏と皆で写真を撮る。中央で映る眞宏はとても幸せそうで。私までその笑顔から幸せを感じるほどだ。 そんな満面の笑みの眞宏が私に、何を思ったかその手に持つブーケを差し出した。 「え……?」 手に渡された、色とりどりのガーベラの花で出来た小さなブーケ。 「結婚式やるって決まった時から、決めてたの」 「なに、を」 「ブーケは金山に受け取って欲しいなって」 一瞬何を言っているのかわからなくて、ブーケを手に持ったまま眞宏を見つめた。 「ガーベラの花言葉、知ってる?」 ゆっくりと頷くと、眞宏はとても綺麗に微笑んだ。 「次は金山が幸せになる番だよ」 その言葉に、どれだけの想いが込められているのかを、私は知っている。 滲んだ涙を溢さないように、上を向きながら口元に手を添える。 ガーベラの花言葉は、"希望、前進" 「ありがとう。眞宏」 眞宏からの不器用なメッセージに、私も微笑み返した。
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