Sixth

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「そう言えばチーフ、最近彼氏でもできました?」 仕事を終えてトイレに行くと、白石ちゃんの姿が。 どうやらこのまま飲みに行くらしい。フットワークが軽いのは若さ故か。 「……えっ、何で?」 「いや、最近さらにお綺麗になったなあって。雰囲気が柔らかくなったって言うか、色気が出てきたと言うか……。最初はメイク変えたのかなって思ったんですけど、そういうわけでもなさそうだし。だから彼氏でも出来たのかなーって」 白石ちゃんはお粉で顔をセットしながら鏡越しに不思議そうに呟く。 鋭い見解に驚きすぎて危うく顔に出るところだった。 私って、そんなにわかりやすいのかな……。 「……残念ながら出来てないよ」 微笑んで嘘をつくのが、なんだか心苦しかった。 でも、バレてどちらかが異動になるのはもっと嫌だ。 今からこんな調子で、私は大丈夫なのだろうか。 用を足して個室を出ると、もう白石ちゃんはいなくて。 自分のデスクに戻って荷物を纏める。 もう一度ちらりと綾人さんに目をやると、真剣に資料を見つめている姿があった。 何故かそれが眩しく見えて、目を細める。 給湯室に行って、甘いカフェオレを作った。 それを綾人さんのデスクに持って行くと、綾人さんはふと私を見上げる。 「……ありがとう」 「……いえ」 隠れるように飲む綾人さんは、ほんの少しだけ顔を綻ばせる。 やっぱり綾人さんの笑顔が好きだな。そう思った。
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