Seventh

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そんな年の、夏の終わり。 「綾人君、好きです。私と付き合ってください」 サークルを終えた帰り道、大学の近くの小さな公園で告白された。 「……誰が?」 「私が」 「……誰を?」 「……綾人君を」 「……」 それを理解するまでに、すごく時間がかかった。それほどまでに、俺の中でハルカは他の人と同じくごくごく普通のサークル仲間としか見ていなかった。 初めて、女性として意識した。 「……冗談?」 「そんなわけない」 「……」 「私は、本気で綾人君が好き」 「俺の、一体どこを」 「最初は見た目がタイプだった。でも知れば知るほど綾人君の中身にも惹かれていった。見た目と同じ、クールでかっこいいところが大好き」 思えば、この時に気が付けば良かったのだ。 俺は全然クールなんかじゃないって。 伝えるべきだった。 しかし、恋愛に疎かった俺にとって、ハルカが初めて告白してくれた相手だった。 単純に、嬉しかったんだ。 「……多分俺つまんない奴だけど」 「そんなことない。私は綾人君が好き。綾人くんが私のこと何とも思ってないのも知ってる。でもそれでもやっぱり好きなの。だからお願い。付き合って」 「……わかった」 そんな強引な始まりだった。 しかし始まりの強引さに反して付き合い自体は順調で、周りからも相当羨ましがられた。一緒に歩いているだけでサークルの同期や先輩方にからかわれた。 元々男臭くて汗臭くて女っ気の無かったサークルで、久しぶりに入った唯一の女子マネージャー。最初は俺に近付きたいという下心もあったと聞いたが、マネージャーの仕事はきちんとこなして愛想も良い。誰とでも分け隔てなく接する。フットワークも軽く飲み会も誘われると大体出席していた。 男に囲まれるのが好きと言うよりは、俺と楽しみたい、俺と同じ時を共有したいと思ってくれていたらしい。 こんなことを言ったら失礼だろうが、ハルカは凄く美人というわけでは無かった。ただその笑顔が愛嬌たっぷりで可愛らしかった。皆から人気があった。 俺も次第に、ハルカの明るさとその笑顔に惹かれていった。
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