Seventh

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その後も俺たち二人は大きな喧嘩も無く、穏やかな付き合いを続けていてサークル内でも公認の関係だったと思う。 しかし、そんな俺は付き合い始めてしばらくしてからも、まだハルカに言っていないことがあった。 それが、実はスイーツが大好きだということだった。 言うタイミングが全くなかったというわけではないのだ。ただ、言い出しにくかっただけ。 というのも、ハルカは意外にもかなりの辛党で、デートに行っても甘いものなど全く食べない子だった。 周りの女の子たちが食い入るように見つめるスイーツよりも、ハルカは激辛メニューの方を嬉しそうに検索して見ていたから、言い出しにくくて。 それでもハルカは自ら進んで甘いものを食べているところを見ないだけで、友達からもらったチョコレートやお菓子などは笑顔で食べていることがあった。 だから実は"あれば食べるけど好んでは食べない"、というようなレベルかもしれないとずっと思っていた。 対して、ハルカはハルカで俺の容姿から、勝手に"甘いものが嫌いな人"なんだろうと予想しており、特に食べているところも見なかったため俺の甘党は全く気付かれないまま時は過ぎ。 それぞれの思い込みと勘違いにより、少しずつ、けれど確かに大きなズレが生じ始めていた。 そんなことにお互い全く気が付かないままに、毎年恒例のスイーツバイキングの開催を知らせるメールが俺のスマホに入る。 行きたいけれど、急に誘ってもハルカは甘いものには興味が無さそうだし、何よりも俺が甘党だという事実に驚かせてしまいそうだ。そう思って中々誘えずにいた。 一人で行く勇気は、まだその頃の俺には無かった。 けれど彼女がいるのに男友達と行く理由も無いし、そもそも周りの友達は皆"男が甘いものなんて"という考えの人ばかりで行ってくれそうな人もいなかった。 俺が意を決してハルカを誘ったのは、そんな時だった。
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