急な辞令に納得いかないので人事部長を襲ってみたところ、返り討ちにあった件

1/1
141人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

急な辞令に納得いかないので人事部長を襲ってみたところ、返り討ちにあった件

私は今超絶イライラムカムカしている。 その理由は、先程直属の上司に喚び出され、急な辞令を受けたから。 「と、言う訳なので大山さんが引き抜かれることは、こちらとしても甚だ不本意だけれども、来月から新設される営業3課という新天地でがんばってきてほしい。」 そんな風に突然辞令を出されたところで、 「はい、そうですかー。じゃあがんばりまーす。」 なんてすんなり飲み込める訳もなく。 なんで?どうして?私なにかやらかしました?と、上司に掴みかかる勢いで聞いてみても 「こっちもなんで大山さんなのか?って聞いたんだけど、どうもこの間君が社内プレゼン大会で作った資料?あれが評判だったみたいでねえ。それで白羽の矢が立ったみたいなんだよ。」 と、実にモヤモヤっとした返答で、こちらの望んだ回答は得られなかった。 こっちとしても人手が足りなくなって困るのに、とブツブツ呟く上司を無視して、 「この人事、異議ありまくりなんですけども!!」 と反論すると、じゃあ文句は直接人事に言って頂戴なってな具合で、この件については人事部へと放り出されたのだった。 新設される営業3課が何をするところかは、まだ公に発表になっていない。 と、いうか私が今在席しているのは開発部なんだから、開発から営業に異動って、それ何?左遷?肩叩き的なやつ? 先日の査定は悪くなかったはずなのに、一体どうして?と聞きたいことは山ほどある。 そんな訳で人事部長にアポイントを取り、面談へと挑むことになったのだった。 私と年齢がほんの少ししか違わない筈の、人事部長の佐藤俊生はスパコンと影で囁かれるほど情が無いと噂の冷徹な合理主義者のエリート。 そして眼鏡の似合う長身のイケメン。 こういう場面じゃなかったらその姿、目の保養として間近で堪能したかった……!! いや、違う。今はそんなこと考えている場合じゃない。 「私は開発部なのにどうして営業に移動なんですか?しかも新設される部署なんて!」  「社内的に、これから色々な部署を経験することで、より人材のスキルに深みを出して行こうという方針になったんです。大山さんはその第一号として抜擢されたんですよ。」 「なのでこれは名誉ある栄転です。おめでとう。」 と、いう人事部長。 ワーイやったね☆栄転だあい!……って、違う!名誉とか栄転とかいらないから!今まで通り、開発部にいさせてくれい!! 人事部長と私の面談は、それから1時間経っても話が平行線のままで業務終了のベルが鳴る。 続きはそれじゃあご飯でも食べながらってことで、人事部長行きつけの焼き鳥屋へとなだれ込む事になったのだった。 注文した物を待つ間も、注文した物がテーブルへと運ばれてきてからも、ああだこうだと食い下がるが、「もう決定したことですので」ってな具合でびくともしない人事の壁。 悔し紛れに人事部長オススメのネギマと日本酒を交互に口に運ぶと、あら、美味しい。 くっそースパコンのくせに美味しいもの食べてるじゃないかと、半ばヤケになりながらジャンジャン注文してバクバク焼き鳥を食べて日本酒をあおる。 人事部長も私のペースに合わせて飲み食いしていたようだったが、開発部イチの酒豪と謳われた私には敵わなかったのか、いつの間にやら目の前の憎き相手は酔いがまわったせいで毒っ気が抜けた、只のイケメンに成り下がってしまっているのだった。 ……いやあーん。か、わ、い、い♡ 情が無さそうなクールな表情もそそられるが、酔って無防備な表情にもグッとくるものがある。 どうせ辞令がひっくり返されないのなら、意趣返しにこの隙だらけになったイケメンを襲ってやれ。 酒の力も相まって、人事部長、いや、佐藤俊生に下心タップリにこう囁いてみる。 「佐藤さん?佐藤俊生さん?酔っちゃいました?帰れますか?それともどこか休憩していきますか?」 「うーん帰る?……帰れにゃい……」 むにゃむにゃ何語とか呟くイケメン。こりゃイケる!! そうして私はケモノの心を親切心で覆い隠して、 「これじゃあ帰れませんねえ?じゃあすこーしだけ、ほんのすこーしだけ、休憩していきましょうね?」 と言って、千鳥足のイケメンの腕を肩にかけて、まんまと一番近くのホテルへと連れ込むことに成功したのだった。 「んふふ。じゃあまずは、ちゅうしましょうね?」 ベッドに佐藤俊生を押し倒すと、幼子に言い聞かせるようにそう言うと、そっと唇を合わせてみる。 想像した以上に、ふわふわの感触が心地よい。 はむはむ唇を食んでいると、うっすら唇が開いてきたので舌をチロリと差し込んでみると、佐藤俊生も舌を出してくるので、くちゅくちゅチュウチュウ舌と舌を優しく絡ませてみる。 体の奥がジワジワと蜂蜜みたいに蕩けてくる感覚を覚えつつ、左手は佐藤俊生の耳たぶを触り、右手はシャツの下に潜らせて、慎ましやかな胸の突起をクリクリ擦ると、佐藤俊生はピクリピクリと反応を示す。 「佐藤さんはぁ、乳首クリクリされて気持ちよくなってきちゃったのかなぁ?女の子みたいで可愛いですね♡もしかしたらぁ本当に、女の子なのかもしれないですね♡じゃぁ今から本当に女の子なのかどうか、確かめてみちゃいましょうかぁ?」 人事異動の報復とばかりに、ネチネチ意地悪く、本人が聞いたら恥ずかしくて甚たまれなくなるであろう言葉を、耳元で囁いてみる。 そして唇が触れる角度を変えながら、相変わらず舌と舌を絡ませつつ、右手を胸から更に下腹部に沿わせてズボンのファスナーを下げようとしたところ…… 頭を急に抱え込まれて、口の中を蹂躪するようなキスに発展。あ、あれ?急にどうなっちゃった?慌てふためく私に、 「こんな場所に連れ込むなんて、とんでもない人ですね。大山さん。」 ……低く、怒ったような佐藤俊生、もとい人事部長の声。 あら、もしかして、酔いが冷めてしまいましたか??? 「す、すいません、人事部長が可愛らしかったので、つい出来心で」と謝罪すると、 「……俊生ですよ。」 えっ? 「今は人事部長ではなく、俊生と呼んでください。」 そう言って、人事部長、いや佐藤俊生はむくりと起きて、私の身体の上になり、再びキスをしてきたのだった。 先程と比べ物にならないくらい激しく舌と舌を絡ませた後、首筋、胸とどんどん下に唇が這っていき、最後には一番敏感なところをペロリとされればもうイチコロ。 形勢逆転。襲うつもりが襲われちゃって、あまりの気持ちよさに言葉にならず、口から出るのは只々あんあんと甲高い声ばかり。 中に熱くて硬いものが入ってきて、グリグリと中を擦る様に動かされると、思わず体をビクリと震わせ「……だめぇ!それっ」と言ってしまう。 すると佐藤俊生は、「ダメ、じゃないでしょ?こういう時はなんて言うか知ってます?」と言うので、「だめ……ぅん、好きぃ」と言い直す。 すると、よくできましたとばかりに今度は、ゴツゴツ奥へと抉る様にするものだから、「ぁあん!それ、それも、好きぃ!!」またしても堪らず声が出てしまう。 体の奥へ奥へと突き進まれる感触に耐え切れず、佐藤俊生の体に思わずしがみついてしまう。 じゃあ、()のことは?どう?キライ? 耳元で囁かれるので思わず、……好きと言ってしまったような気もするけれど、最終的には、私の中に入る佐藤俊生を感じながら、ただひたすら快楽を求めて腰を揺らしてしまうのだった。 そして翌朝。 「大変申し訳ありませんでしたー!!!!」 スライディング土下座の勢いで謝罪する私。 「人事部長が大変可愛らしかったのでついホテルに連れ込んでしまいました!どうか許して下さい!!」 すると何故か赤面した人事部長、 「べ、別にいいですけども。」 と、モゴモゴ気まずそうに言いながらも、こちらの謝罪を受け入れてくれた。 よかったー。謝罪を受け入れてくれたなら、会社に訴えるとかもないよね?安心して胸を撫で下ろして「じゃこれは一夜の過ちってことで!」と言うと、次の瞬間禍々しい空気が人事部長から立ち込める。 「大山さん、あなたは私にこんなことしてるんですから責任問題が発生しますよ。」 えっ?! 「責任を取って、また来週もここに来て私に抱かれてください。」 ええっ?! そんな無茶苦茶な!とも思うけれど、確かに人事部長、もとい佐藤俊生とは、身体の相性が良かったのか、脳みそが溶けてしまうくらいの快感だった。 会社の人、ましてや人事部長とセフレになるなんて色々まずいのでは?と私の中の天使は忠告するが、その一方では悪魔がお言葉に甘えて来週もグズグズに溶かしてもらっちゃえよと囁いてくる。 そして、快楽にとことん弱い私は、その甘言、もとい、人事部長の脅迫に屈し、セフレ関係に甘んじることにしたのだった。 ……その後、人事部長こと佐藤俊生とのセフレから脱却し、きちんとした形になるまでには色々あったりするのだけれど、それはまた、別のお話ってことで。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!