8. 後悔

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携帯の画面には、ユウ君の名前。優先輩からのLINEだ。メッセージを開くと、そこには一言しかなかった。 『………っ』 【会いたい】 その一言を見て、また胸が締め付けられる。そんなこと今まで一度も言ってこなかったのに…。 既読をつけたまま返せずにいると、またメッセージが来た。 【もう一度だけでいいから】 『……もう一度だけって』 私は…どうしたいんだろう。誰を好きなの? 確かに、この事実を知った時すごくショックだった。ずっと嘘をつかれてたことも、ユウ君って人がいないことも…。 でも、少しずつ冷静になって考えるとやっぱり優先輩の顔を思い出してしまう。仮にもあんなに好きになって、気持ちをぶつけたの初めてだったから…。 今思えば、カフェで私が告白した時に優先輩が泣きそうだったのは、このことがあったからなのかな。もしかして優先輩も悩んでたのかな…? “僕のこんなこと知っても、まだ好きって思う?” “悔しいけど…思う” 『……もう、分かんないっ』 携帯をテーブルに置いて、頭を掻き乱した。自分の気持ちがどこにあるのか分からない。 このまま全部から逃げれたら… このまま何もなかったことに出来たら… 『………っいや、ダメ』 ダメだ。それじゃダメなんだって。今までの私じゃダメなんだよ。 傷つくことが怖くて、ずっと逃げて、自分が気持ちのいい場所にしかいなかった。誰とも向き合おうとしなかった。 やっぱり、そんな私のままじゃダメだ…。 少なくとも、〔ユウ君〕を好きになった時に私は少し変われた気がしたんだ。 だから、分からないならハッキリさせないと。 それに蓮だって…あんなに真っ直ぐ気持ちを伝えてくれた。私も答えを出すためにはしっかり向き合わないと… まず私がハッキリしないといけないんだよ。 【分かりました、会いましょう】 私は携帯を掴み取って、震える指で優先輩に返事を打って送った。
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