古谷友美の証言

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 それから私は学校に行けなくなりました。中学生の残りの時間は、ずっと家に引きこもって過ごしました。高校にも何とか受かったんですが、結局行けなくなって中退しました。人の目が怖くて……誰かに笑われているような気がして、外に出られなくなったんです。  家族とも折り合いが悪くなって、私は家を出ました。それからはバイトをして何とか食いつないでいましたが、どのバイトも長続きしませんでした。外に出ようとすると怖くて動けなくなって、欠勤することが多かったからです。  そんな生活を送っていたある日、何となくスマホを見ているとあの人のSNSアカウントを見つけました。見てみると、旦那と子供に恵まれて幸せそうに暮らしていたんですよ。  強烈な怒りを覚えましたね。その日はずっと荒れて、部屋中のものを投げ飛ばしました。だっておかしくないですか? 私の時間はあの人にいじめられた時のままで止まっているのに、あの人は全部忘れて前に進んでるんですよ。  それからは、もう自分の人生がどうでもよくなりました。いじめられた私はもう普通の幸せを手に入れられないのに、いじめたあの人はのうのうと生きている。人生って不公平ですよね。だから、逮捕されても死刑になってもいいからせめて復讐をしたい、そう思うようになりました。  あの人の居場所や生活パターンは、SNSを見れば面白いほどにわかりました。それで、あの人が娘をいつも迎えに行っているスーパーで殺してやろうとしたんです。  その後どうなったかは、ご存知の通りです。
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