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「それってなんだか変じゃない?」
わたしの数少ない、というか唯一の女友達である美弥子は言う。年末はどう過ごしたの?という会話で、わたしはちょっと喋りすぎてしまったらしい。いつもであれば「なにもしなかったよ」とか「だらだらしてた」とか当たり障りのない返事をするのに、大晦日のことを思い出したら楽しくなってしまってつい口数が多くなってしまったのだ。美弥子のレーダーはそういった僅かな違和感を見逃してはくれない。
「だって、桜子は田村さんと付き合っているんでしょ?それなのに、伊織君と美月君の事を話してる時の方がずっと楽しそう。それって、変だよ」
大通りに面した洒落たカフェテリアでカレーライスを口に運びながら、美弥子はいかにも正しいことを言うような口調でそう言った。このカフェのカレーはスパイスが効いていて、肉も野菜もごろごろと塊で入っている。わたしは美弥子の向かいに座ってロコモコ丼を食べながら、やっぱりわたしもカレーを頼めばよかったかな、と考えていた。表からは見えない銀色の厨房で、大きな鍋の中くつくつと長時間煮込まれているカレーを想像する。
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