手を伸ばせばあの頃の花

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 真面目な子だと、大人達から評されるようになったのは、いつの頃からだっただろう。  自分の記憶では、小学校の四年生か五年生あたりからだったような気がする。もしかすると、もっと早い時期からだったかもしれない。  しかし、本来の私は全然真面目ではない。  幼稚園の頃は、大人しく園庭の中で遊んでいなければいけない遊び時間に、「あそこに咲いているタンポポをつみたいから」という理由で、園庭の外に出ていくなんて朝飯前だった。  しかし、年端もいかない子供のくせに、すでに社会のルールというものを理解している子も、何人かはいるものである。  私が手に数本のタンポポを持って園庭に戻ってくると、 「お前、そういうことしていいのか」 「先生に言うぞ」  と、食ってかかってきた子の一人は、確かマコト君という名前だったような気がする。ユキちゃんと言う女の子もいたと思う。
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