手を伸ばせばあの頃の花

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「あんたの通学路はそっちじゃないでしょ」 「戻ってきな」 「明日先生に言うよ」  二人は私に向かってギャアギャアわめいていたが、私はそれを無視した。  翌日、二人は先生に私の悪行を報告し、私は先生に怒られたような気もするが、いつものようにあまり反省はしなかった。  ただ、あの角で曲がると、うちに帰るのにかなりの遠回りになることが判明したので、それ以後はそこで曲がるのはやめた。  しかし、恐ろしいことに、これの数日後、私はユリちゃんとノゾミちゃんに通学路のことで別のイチャモンを付けられてしまう。  理論的には矛盾するが、二人は私に向かって、アンタの通学路はどうしてそっちなんだ、私達と同じ道を通って帰るべきだと主張した。  あの出来事は、二人の中では終わっていなかったのだ。  二人の私へのイチャモン付けは、ちょっとの間続いたような気がする。  この頃の二人は最強のコンビだったが、割りとすぐに解消した。気の強い性格同士だから、もともとの相性もそんなに良くなかったのかもしれない。
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