3.パクられたらパクリ返せ!

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3.パクられたらパクリ返せ!

『007 ムーンレイカー』(原題:007 Moonraker)1979年  世界的にSF映画のブームが起きていた。『スターウオーズ』が大ヒットしたせいだ。  ブームに乗り、ジェームズ・ボンドもスペースシャトルで宇宙に飛び出す。  その前から、海に潜れるスーパーカーやら、自動車からミサイルを撃ったり、腕時計から強力な磁力線を放ったり・・・ほぼSFの世界に浸っていたけどね。  特殊効果はデレク・メディングス、音楽はバリー・グレイ、『サンダーバード』のスタッフだ。007を吊り人形でやりたくなる。  冒頭では、空飛ぶジェームズ・ボンドを吊りワイヤー無し、ブルーバック合成無しで実現。スカイダイビングの可能性を見せつけた。  これ以上のアクションはミュージカルくらいと思うほど。  次の作品を構想していたら、スタッフは日本のアニメを見てしまった。  浜美枝や若林映子を『007は2度死ぬ』で器用したのは、『キングコング対ゴジラ』を見たから。昔から日本映画を好きな連中がそろっていた。 『ルパン三世 カリオストロの城』1979年  映画版第2作のシナリオがボツった。急遽、宮崎駿が監督となり、製作は再スタート。  製作期間の中で、作画にかけられたのは実質半年ほど、この作品は突貫作業で作られた。TVルパンの第1シリーズと似た状況だった。ぎりぎり年末の公開に間に合わせた。  そんな訳か、『007』のシリーズからパクった場面がてんこ盛りだ。  ウエットスーツの上に帽子をかぶる次元大介・・・『サンダーボール作戦』で、ウエットスーツの頭の上に鳥の模型を乗せたジェームズ・ボンドのパクリだ。  ウエットスーツを脱ぐと、下にトレンチコートを着ていたルパン三世・・・同じく、ウエットスーツの下に背広を着ていたジェームズ・ボンドのパクリだね。  ジャイロコプターは『007は二度死ぬ』で使ったし、腕時計から飛び出す超兵器もおなじみだ。  大きな時計メカをバックに格闘するのは『ムーンレイカー』の中盤でやった。  スパイ物なのに、事件の現場を世界に生中継してしまうのは『ムーンレイカー』のラストでやっている。テレビを見ていた銭形の上司が愕然とするあたりも、MI6の上司が愕然とする場面のパクリ・・・かも。 『007 ユア・アイズ・オンリー』(原題:For Your Eyes Only)1981年  今度のジェームズ・ボンドは、冒頭で自慢のスーパーカーの自爆装置が働き、足を失ってしまう。代わりに乗ったのはシトロエン2CV、女の子の運転で逃げる・・・逃げる。クルマは撃たれて穴だらけ、逃げるうちにボロボロになっていく。  敵につかまり、女の子と抱き合って海に落ちる。  とどめに、素手で垂直の崖をよじ登るはめに。頂上にあるのは、今は世界遺産の修道院だ。  この時、ロジャー・ムーアは還暦過ぎ。アニメじゃないから、主役はつらいよ。 『007 オクトパシー』1983年  敵が飛行機で逃げる。ジェームズ・ボンドは翼にしがみついて追う。  飛行機は飛び続ける、敵が翼の上に出て来て格闘が始まる。  こいつら、絶対に『未来少年コナン』見てるぞ!  アニメのアクションを実写でやってしまうあたりが、007シリーズのすごいところだけどね。  こんな状況を、わたしは私的に「文化のキャッチボール」と呼んでいる。  最近は何でもかんでもCGだ。デジタルスタントマンの技術的な走りは『ジュラシックパーク』だった。CGで起こされた恐竜が話題になったけど、人間のCG化も行われていたのだ。ティラノに食べられる人間とか。  今では・・・『アベンジャーズ』とか『スーサイドスクワット』とか、実写に見えて全画面CGの映画もある。さみしい時代だ。
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