悪夢への

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ゲバイトは市場を抜け川岸を海の方角へ歩いていた。ヘドロや沢山のゴミが擦れあい川は不気味な音を奏でている。 その音を聞きながらゲバイトはラムドルに渡された紙に目を通していた。 ターゲットはタニアという女でこの先の港の倉庫にアジトがあるらしい。 しばらく歩くとフラフラと歩く人影を見つけた。市場と住宅地以外道を歩いている人はほとんどいないのでゲバイトは物珍しそうにその人を見つめた。どうやら女の人のようだ。 ゲバイトがその横を通り過ぎようとした時。 彼女はバタリと床に倒れてしまった。 彼女はハァハァと息を切らしている。 ここでは人が倒れるなど、よくあること。こんなところを歩いている珍しさから少し立ち止まったが、すぐにまた歩き出した。 しばらく歩くと目的地の倉庫にたどり着いた。 「ここか・・・」 ゲバイトは深呼吸し荒れる息を整えると拳を固く握りしめ、倉庫の扉に手をかけた。 すると中から銃を連発する音が聞こえた。ゲバイトはその音に驚き、扉から手を離した。足が震える。ゲバイトは怖い気持ちを抑えると扉を少し開けると中を覗いた。 すると中から太い男の声が聞こえてきた。 「すべて片付けたか?」 男の声が不気味に倉庫に響く。 「はい、隅から隅まで探しましたがこれ以上は誰もいません」 今度は普通の声の男の声が聞こえた。その他にも色々な方向から足音がきこえる。ゲバイトは深く息を吸うと恐怖を抑え込み中へと入った。 倉庫の中は棚やベッド、机など生活感のあるもので溢れている。そんな中を息を潜め音を立てずに時々様子を窺いながら薄暗い倉庫の中を物陰から物陰へと移っていく。 二階へ到着するとそこから辺りを確認すると重装備のボディーアーマーを装着した男達が何かを探して歩きまわっている。 「女はいないな・・・」 ゲバイトはタニアがいない事を確認すると奥へと進んだ。音をたてないように慎重に。すると二階の奥に扉があった。扉の窓から中を確認するが誰もいない。 「おい、何かあったかー!」 中を窺っていると背後から声をかけられた。薄暗いし距離もある。相手は気づいていないようだ。 「あっああ、なにもないぞ!」 ゲバイトは遠くの人影に怪しまれないようにはっきりした声で言い返した。その隙に部屋の扉を開け中へ入った。 「ん?誰だ、ここには色々なファイルがあったぞ」 窓の死角にボディーアーマーを着た男が座り込んでいた。 とっさにゲバイトは男の首を腕で力いっぱい締め上げる!男は数秒もがくと気を失った。 コンコン!扉をノックする音だ。 「おーい、何か見つかったか?」 ゲバイトは急ぎ隠れる場所を探すが隠れられる場所はない。焦り汗が吹き出す。 「あんた!こっちだ」 本棚の方から小さい声が聞こえ本棚を見ると本の間から男の顔が見えた。そして部屋の扉が開く。 「ありゃ、誰もいねぇーな」 部屋の中には誰もいなかった。 ゲバイトは間一髪本棚の後ろにあった隠し通路にいた男に助けられた。 「こっちだ」 男は気絶した男を担ぐと通路の先へと案内した。そこには綺麗な部屋があった。絨毯や暖炉木のテーブルこんなオシャレな場所は現実世界でも見たことはない。そして奥の椅子には老けた女が座っていた。 女はスッと椅子から立つとこちらに歩みよってきた。 「どうやら、あんたはあいつらの仲間じゃ無さそうだねぇ」 その気迫にゲバイトは何の言葉も出ない。 「でも、私には分かるよ」 そう言うと女は腰の剣を抜く。ゲバイトは恐ろしくて胸にしまってある銃に手をかけることも出来ない。 どんどんこっちへ歩み寄る。そして女は剣を寝かしてある気絶した男の喉元に突き刺した。女がその剣を抜くと男の喉元から血が吹き出し、辺りの絨毯が赤く染まる。 その様子を見てゲバイトは吐き気がしゲロを吐いた。すると女はゲバイトを蹴り倒すと喉を足で押さえつけた。 「誰の差し金だい、答えな!答えなければ殺すよ」 女は血に染まった剣を喉に当てる。ゲバイトは女の足を掴むともがきながら答える。 「かっ・・・らっ・・ラムドぉ・・・ぐっ」 ゲバイトはそう答えると泡を吹き出し気絶した。
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