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なのだ
バサっと檻に被せてあったシートがとられた。
ギリギリだった!!
トラ君はずっと人間のままだったし、どうしようかと思った!!
「メア、トラは何になったのかな?」
こんな質問をしてくるって事は、団長はトラ君が何かに変身出来るって解ってたのかしら?
団長はカシュー君を人間にしたってトラ君が言ってたし、言ってもいいよね。
「13才の男の子に…」
「そうか…どうしようかな…」
『どうしようかな…』って、どうにか出来る問題じゃないよね。
「よし、トラは入団した子って事にしたらいいね。」
「それじゃ、トラがいないのバレますよ…」
「大丈夫だよ。いるように見せるから。」
……どうしよう。団長がよく解らない事を言ってるけど、トラ君が人間になってる時点で解らない事だらけだし、何とかなるって信じるわ。
「オレも今日から人間なのだ!」
「そうだね。」
トラだった時と変わらず、ずっと私にくっついて、手をつなぐトラ君。
「ハルはメアの近くによったらダメなのだ。」
「何を『なのだなのだ』言ってるんだ、この小坊主は。」
「ハルはいつも命令するから嫌いなのだ」
「何の事なのだ?」
ハルさんつられてる。
「それにしても、珍しい髪色だな。根本は黒いのに先は金髪。」
「カシューもなのだ。」
「カシューは反対だ。根本が金で毛先が黒。」
「一緒なのだ。」
「まぁ、逆なだけか。」
やっぱり、ハルさんとは安心して話してるよね。トラ君。
カシュー君にはライバル心をむき出しにしているけど。カシュー君が私に話しかけると、すぐに割って入ってくる姿は可愛いけどね。
「ねぇ、トラ君。ラマナは一体何者なのか知ってる?」
「悪魔なのだ。」
やっぱりそうなのかな?自分でも言ってたし。
「私は魔女?」
「ナタリアはナタリアーナで悪魔殺しで、今はメアなのだ。」
「そのナタリアーナっていうのは私なの?」
「そうなのだ」
「何故トラ君はそんな事を知っているの?私はナタリアだよ?」
「メアが俺を目覚めさせた時、記憶も流れてきたのだ。いっぱい人が殺されてたのだ。『悪魔殺し』を殺そうとしていた奴らが沢山殺したのだ。」
「いっぱい殺したとか、よくわからないよ。私にはそんな記憶ないしね。」
「すぐ忘れるのだ。忘れんぼなのだ。」
忘れんぼ…
「でも、魔女とか悪魔とか、それがいたとして何か悪い事が起こるの?」
「悪い事をしようとする奴がいるのだ。一部だけど、それがいっぱい人を殺したのだ。」
「なんだかトラ君は私よりも色々しってるね。私の記憶とかいう謎の物を。」
「褒めてもいいのだ。」
褒められたいんだ…。
そう思って、トラ君の頭をよしよししてみる。
「偉い偉い。」
「子供扱いしてるのだ。」
褒めてほしそうにしてたのに…。違ったの?トラって難しい生き物なのね。
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