さよなら

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城下にあるものは高い。 けど、その分質屋も気前がいいわね。アクセサリーを高く買ってくれたわ。 『盗んだものか?』っていわれたから、『ユリオ侯爵様から寄付金代わりに頂いたものです!』って言ったら、すぐ買ってくれたわ。 何の確認だったのかしら。ま、売れれば何だっていいけどね。 手に入れたお金でメイク道具を買って、私は王都を出た。 どうせ家は潰されていてるのだから、急ぐ必要もないよね。 私はのんびり村へ帰ることにした。 ラマナのもとから逃げ出して、今日で5日目。 やっと1人、私に声をかけてきた。 「おい、そこのお前、ちょっと待て。」 「なに?」 「これ、お前じゃないのか?」 兵士が持っているのは私の姿絵だった。 髪の毛は黒、瞳はブラウン、身長は155センチくらい、細身、髪の毛はボブ…と、特徴は書いてあるけれど、急いで描かせた絵な上に一流の絵師じゃ無かったのか、『少し似てる』…くらいにしか見えない。 髪の毛を切ってる事は気付かれてるのね。 まぁ、そんな事を考える場合じゃないよね。今は目の前のこの兵士を騙さないと。 「この女が俺?いや、俺男なんだけど。」 私は今どう見ても男の子の格好をしているし、押し通せば何とでもなるわ。 「だが似ている。」 「オッサン目ぇわるいんじゃね?この女に俺みたいなホクロがあんのかよ。それに、そんなデコッパチじゃねぇ。」 目元にはホクロをかいて、目元もキリっと見せるためにメイクをしている。女の子は可愛い格好をして綺麗な言葉遣いをするものだと思ってる人なら、絶対に騙されるわ。 「…そうだな。」 「そうそう。じゃ、俺行くけどいい?」 「ああ。悪いな。」 ぜーんぜん。どんどん聞いてもらっていいわよ。捕まる事は絶対ないと自信があるもの。 昔からメイクと変装は上手だったのよ。その姿にあわせて性格や喋り方を変えたりして遊んでいたしね。
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