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「よし!到着っ!!」
馬車を乗り継いで港に着いた。次の船は2週間後なのね。さすがにここで船を待つのはリスクが高いわ。
ミーア皇国という国なら1日でつくのね。ここに行って船を待つ方がいいわ。ミーア皇国なんて聞いた事がないけど、物凄く小さな国なのかしら。
「ミーア皇国行き、まもなく出港します!」
「あ、乗りまーす!」
走って行ったものの切符がない…。
「船内で購入しても構いませんよ。」
「ありがとうございます!」
すぐに船に乗れるなんて、順調だわ。
「いってらっしゃませ。…血塗られた船へ。ナタリアーナ・アイ皇女殿下。」
船では何故かパーティーが開かれている。
この船、外見はそんなに新しくなかったよね。船内を改装したのかもしれないけど、キラキラしすぎてて違和感しか感じないわ。
私は2階にいて、そこから会場全てが見渡せる。
誰もが着飾って、談笑してる。
なんだか場違いだわ。船賃、めちゃくちゃ高かったりしないよね。
確認しようとクルーをさがすけれど、1人も見当たらない。
1階には人が沢山いるし、そこで聞いてみよう。
階段を一歩一歩下りる度に、ゾワゾワッと鳥肌がたった。
決して寒いわけじゃないのに体が震える。ここは居ては駄目な場所だと感じた。
ローブを手に持っていると落としてしまうかもしれないので、急いで身につけて階段をかけ上った。
上りきる寸前に、突然叫び声が聞こえた。
「キャーーっ!!」
「うわぁああっ!!」
「なんだこれはぁ!」
何故叫んでいるのか、最初はわからなかった。ううん、理解出来なかった。
「…なに?」
突然、黒い影のような物があらわれて、乗客を切り始めた。床も壁も何もかもに血が飛び散っている。
目の前で起こるコレを現実だと思えなかった。よくわからない黒いものに、人が切られていく。
一体何が起きてるの…。
足が動かない。早く逃げないと私も殺されるのに…。
「逃げなさい!ナタリア!ぅわわわ!」
「ミリア、ナタリアを頼んだぞ!」
何?何で私の名前を知っているの?この船に乗ってる事を知ってる人はいないのに…。
「ふふ、あの時の再現をしてみました。お気に召しましたか?」
「…っ!?」
この人はさっきの船員!!
「再現ってなにっ!?早く船を港へ戻して!人が沢山死んでるのよっ!」
「大丈夫ですよ。これは幻です。」
幻…?
「貴女を殺し損ねた。しかもミリアーンがずっと邪魔をしていた。それが終わると思えばラマナが邪魔をしだした。最終的にローブをまとうとは…。」
再現…?
幻…?
一体何を言ってるの。
これは夢?
「さすがです。虐殺城の生き残り…。ナタリアーナ皇女。今の私では貴女に敵いません。」
「……」
「早く目を醒ましてくださいね。では、またお会いしましょう。」
ナタリアーナ、それは誰の名前なの。
わからないけど、それを思い出しては駄目よ。絶対に駄目なの。
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