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しらない
「この服?古着屋だけど。」
「何処の?」
「んなの覚えてるわけねぇじゃん。」
「……」
「安いのがあれば買う。暖かそうなもんがあれば買う、便利そうなら買う。あんたらみたいに金持ちじゃねぇんだから、貧乏人はそんなもんだろ。」
この人、要注意人物だわ。骨格とか、凄く見てるもの。
けど、見破られたとしても捕まらない自信があるのよね、私には。
「あんたさ、この服が欲しいの?売ってやってもいいぜ。船代足んなくてさ、トマッカなんだけど。」
「そんなもの、渡すはずがないだろう。それに、兵士に協力するのは国民として当然の事だ。」
「そりゃあんたの国での話だろ。俺、この国の人間じゃないし、押しつけてんじゃねえよ。」
「捕まりたいのか?」
「捕まえられんならやってみろよ。あんたが思うほど俺弱くねぇから。死んでも文句無しな。」
「ふざっっうっ!?」
私は女騎士のみぞおちを軽く殴った。
「……っっ…」
「あまくみてんじゃねぇよ。殺しにくんなら、次は殺すから。じゃ!」
私が弱いのは、昔からラマナが近くにいる時だけよ。
港は危ないし、ローブを脱いで何かに紛れよう。
・・・・
「…っハァハァ」
「タナカ!大丈夫か!」
「……つけ……」
ダメだ、喋れないし動けない。
見事にきめられた…
死なない程度に…
「ハァハァ…、男の…ハァ…っ子がローブを着て…っもうここにはいません。」
「ナタリアだったか?」
「おそらく。……めちゃくちゃ強いって事、情報になかったんですが。」
「ナタリアが?強い?」
「…好きな男の前ではか弱く見せていたんでしょうねぇ。」
ナタリアが強いわけがない…。
少なくとも俺はそう感じたことはない。
それは、本当にナタリアが魔女で俺が悪魔殺しだからかもしれない…。
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