しらない

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ん~、船に乗るために港にいきたいけど、見張りがいるよね。 メイクで顔を変えていても、『本人確認できる証明書』を出せとか言われたりしたら困るわ。 最悪、この国で暮らしてても切り抜けられると思うけど、ラマナに見つかった時が面倒だわ。 何処かで働かないと、いつまでも宝石を売ったお金だけじゃやっていけないよね。まだ結構残ってはいるけど、油断は出来ない。何をするにしても、お金がないとね。 船を待つ間に、魔女や悪魔殺しについて調べてみるのもいいかもしれない。 疑われる理由がローブだけなのか、それとも他に判断基準があるのか、それを知った方がいいよね。 考えながら、私は宿へ向かった。 「おばさん、一晩いくら?」 「30だよ」 「じゃ2日泊まるよ。」 「うちは前払いだからね。」 私にお金がないと思ったのか、女主人はそっけない。 「じゃ、60ね。」 「…部屋はA6だよ」 カシャンと机に鍵が置かれ、私はそれを持って急いで部屋に行った。 「はぁ…、さすがに疲れたわ。」 ベッドに寝っ転がって、ラマナと会ってから今日までの事を思い出してみた。 私を魔女扱いするのに、何故結婚する必要があったのかしら。それに、パーティーに連れていって、ラマナは何がしたかったんだろう。 『魔女と結婚しました』だなんて、そんなの皆の前で言ってしまったら困るはずよ。 何故か解らないけど、思い出せない事がいくつかある。 パーティーで倒れてから、その後がハッキリ思い出せない。 馬車を飛び出す前に、ラマナが私に何か話していた気がするし、ただ外を見ていただけのような気もする…。 あと、港で気を失う直前の事を覚えていない。船に乗った気がするんだけど、お爺さんの話だと『海を見ていて急に倒れた』って言ってたよね。 まぁ、記憶がないのは、今に始まったわけじゃないけど。 私には時々ぬけてる記憶がある…。 お婆ちゃんが『昨日も言ったけど』ってよく私に言ってた。 その『昨日言ってた事』っていうのが、私には解らなかった。 『昨日言ってた事』を思い出せば、もしかしたら、ラマナが私を殺す事は無くなるかしら…。
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