道化師

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道化師…メイクは問題ないけどね、何をしていればいいのか解らないわ。とりあえず、風船を渡すくらいしか出来ない…。 「ピエロー!キモいんだよーー!」 「風船なんていらねぇ~」 そう言って、子供達に逃げられた。 なんって可愛くない子達なの!ううん、道化なのだから、何があっても笑ってよう。 バシバシ叩かれるし、抱きつかれるし、泣かれるし、これは…誰もやりたがらないから新人の私に押し付けてたりして…。 まぁ、殺されるよりましよね。 私のサーカス1日目は、道化師で終わった。 「ククっ、どうだった?ガキどもは怖いだろ?」 私に話しかけてきたのは、団長の所まで案内してくれた男の人。 「怖いなんてもんじゃないですよ、あれは…。俺は力は強いんですが、体が頑丈なわけではないので、叩かれて痛かったです。」 「まぁ、ここでやってくなら頑張るこったな。」 その通りよ。弱音はいてる場合じゃないわ! 「俺、そのうち。猛獣ショーの助手するんですが、猛獣使いは…」 「ご覧の通り、俺だ。」 「…ですよね。ハハ…」 腕や顔に傷がある…。猛獣に引っ掛かれたんだろうけど、人を襲う可能性がある証拠よ。 「俺が殺されないよう、せいぜい頑張ってくれ。」 「猛獣が暴れて、人を食べた事は…」 「ある。前の奴は噛みつかれて死んだ。サーカスは大ダメージだ。」 ダメージとか、そういう事じゃないと思うんですけど…。 「暴れだしたら殺します。俺は死にたくないので!!」 「お、頼もしいじゃねぇか、ヒョロヒョロのくせして。」 まぁ、女だしね。 次の日も次の日も道化師で頑張りました! 少しだけ皆のメイクも任されたりして、それはとても嬉しかった。 「だんちょぉ~、次の公演はどこですかぁ~。」 私の隣に座る可愛い男の子が聞いている。それは私も1番聞きたかった事よ! 「ウエハーだよ。」 「ウエハー!!やったぁ!チョコがうまいトコだな」 「バーカ、そんな問題じゃねぇよ。」 ウエハーなら国境に近づく。これからどんどん北へ向かえるかもしれない!
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