猛獣

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どうしよう。 迷ってる暇なんてない。けど、どうしようもない。 あ、まずい…、目の前が暗くなってきた。 恐怖で意識がとぶ事ってあるの……? ……この世に魔女なんていければ、私達は生きられたのよ。今だって、ラマナさえいなければ、これを倒せるのに。 貴方がなんであっても、あの時見逃してあげたのに…。 助けてくれるって誓ってくれたから殺さなかったのに…。私はわざと自分の記憶を消したのに…。悪魔の証拠を、ローブを私が奪ってあげたのに。 このトラは悪くないのよ。 「眠れ…」 そういうと、トラはパタンと倒れた。 ・・・・ トラが倒れた時、やっと俺はナタリアーナに追い付いた。 「オリッ!」 「……」 「オリッ!」 「……」 …立ち尽くしているけど、正気じゃない。 ナタリアの髪の毛が薄く赤い…。 悪魔殺しの特徴だ。 ナタリアーナが、悪魔の一族を殺すと決意し始めてる。 ・・・・ 気がつくと私はいつの間にかベッドで寝ていた。トラはどうなったのかしら。あまり覚えていない。確認に行こうと思ったけれど、そのまま寝てしまった。 次の日、私に待ち受けていた試練。 「オリ、今日から女の子に化けようか。」 女の子に化けようって何?私は女なのよ。せっかく男に変装してるのに、それを女に戻してしまったら駄目よね。 いいえ、大丈夫よ。 私は別人になってみせるわ。たとえ、ラマナが同じ街にいてもね!! 私は入念にメイクをして、団長のもとへ向かった。 「オリ、上手く女の子に化けれたね。」 女に化けたわけじゃなくて、もともと女なんだけどね。 「団長、私はお尋ね者ですよ…。」 「猛獣を追いかけていた男の子の顔を憶えてる人もいるだろうし、あの顔だと捕まる可能性もあるよ。」 それは嫌…。 「今はナタリアじゃない女の子になるんだ。あの女騎士はオリを疑ってるからね。少しでも隙を見せれば、理由をつけて連れていかれるよ。女の子でいる方がいい。」 「はい。」 「今回の巡業、側に悪魔殺しの屯所があるから、気をつけるんだよ。何かあればすぐに俺に言う事。いいね。」 「了解です!」 「…あと、胸に何かつめておいたら、もっとよくなるよ。じゃあ。」 胸……。 どうせ小さいですよ!! 「おっ!!オリ、お前かわいいな!!本当に女だったら、俺の嫁にするのに!」 「ハルさん。女に化けても、俺は男なので。」 「もったいねぇなぁ。」 「何を言ってるんですか。」 私とハルさんのやり取りを団長が笑っていた。
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