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「ラマナ、この辺りにサーカス団が来るらしい。前にタナが怪しいと言ってた少年、調べてみるか?」
「…それが出来ればやっている。」
「何か問題でもあったのか?」
「あの団長はかなり強い。」
「サーカスの団長が?」
「ああ、タナカが無理矢理あの男の子を問い詰めていたら、軽く殺されてたはずだ。」
目が普通じゃなかった。見間違いかもしれない。だが、ほんの一瞬あの男の目が真っ黒に見えた気がした。
それに、袖にナイフが仕込んである。
「あの男が何の演目に出るのか調べたら、ナイフ投げだった。コントロールは抜群で、投げるのはナイフばかりじゃないらしい。斧でも剣でも投げて、それが分厚い木の板に刺さる。ショーが終わった後で、刺さっている物をどれか1つでも板から抜き取れれば、とんでもない額の賞金を出してる。そこまでがショーらしい。まだ誰も成功していないそうだ。」
「…投げた剣って、抜けないほど強く板にささるものか?」
「無理だ。…タナカに『深追いはするな』と言っておいてくれ。人目が無いところであれば、今度は確実に殺される。」
「わかった。」
だが、あのサーカスは調べたい。
・・・・
「オリ、今日はピエロとメイクだけでいいよ。」
「トラは…。」
「この前は怖い思いをさせたからね、少し休憩だよ。」
「ありがとうございます!」
よかった…。
私の怪力はまだ戻ってないんだよね。きっと、ラマナか近くにいる。
怪力がなければ私はただの足手まといだもの、休ませてもらえて本当によかった!
あといくつ街を進めば、この国を出られるだろう。
早く国を出たい。ラマナに殺されるって怯えながら生きていたくない。ラマナ…、あの日再開しなかったら、こんな事にならなかったのに。あのローブだって持っていなければ魔女だなんて言われなかった。
魔女である証…。馬鹿みたいね。
鞄の中にローブがある。これ、燃やせばどうなるだろう。
『持ってろ』って手紙に書いていたから持ってるけど、無くてもいい気がする。
よし!燃やそう!!
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