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燃えないゴミ
皆がショーをしている時、私は料理をつくっている。
今がチャンスよ!
燃やしやすくするためにローブを切り刻もうとするけれど、全く切れない。
「どうして?」
ボロボロのローブがハサミで切れないなんてことあるの?
パチパチカシャカシャ
何度も切ろうとするけど上手くいかない。
どういう事なの…。全然切れないわ。
仕方ないわね、このまま燃やそう。
ローブを火の中に投げ込んだけれど、燃えない!!
燃えないどころか、火が消えてしまった…。
ローブには油をかけておいたのに、どういう事なの!?
これは燃えないゴミだわ。
仕方がない。またどこか案山子があったら着せておこう。
「メア」
「はい!!何でしょうか、団長!!」
今の私の名前はオリじゃなくてメア。
「悪魔殺し集団が『荷物をあらためる』…と言って、そばまで来ているから、大切なものがあれば隠しておくんだよ。」
「わかりましたっ!」
まずい、ローブを隠さないと!でもどこに!?燃えないし切れないし……。そうだ!!
私はスープのはいった大鍋にローブをいれて沈めた。折角作ったけど、ごめんなさい!!
悪魔殺しは、それから3分ほどして入ってきた。その中にラマナもいる。探してるのはローブで、狙いは私だと思う。
「何を探しているのかしらないけど、さっさと見て出ていってくれないか。出番が来てしまう。」
「うるさい、待たせればいいだろう。」
40代の兵士が言った。
「……」
あ、団長がちょっと怒ってる…。
「ねぇ君。」
「はい。何でしょうかぁ?悪魔殺し様。」
突然ラマナに話しかけられた。
私は別人になりきる。今日はガッツリメイクも出来ているし、大丈夫だよね。
「この前は君はいなかったように思うが。」
「この前?団ちょー、この前っていつですかぁ?」
「オリを悪魔だと疑ってた、ヘッポコ女騎士がいたでしょ。あの時の事だよ。」
「あ~、じゃあ私は気がつかれてなかったってことなの?団ちょー、私って存在感ないですか。」
「ふふ、そんな事ないよ。ところで悪魔殺し君。荷物を調べる手がとまってるよ。」
「ああ…。」
それから15分ほどで、ラマナ達は帰っていった。
はぁ、どうなるかと思ったけど、ローブを隠せてよかったの。
「メア」
「はい。」
「多分見張られるから、誰の前であっても気を抜いたら駄目だよ。」
「はい。」
「大丈夫。団長は団員を守る役目だから、何かあったら言いに来るといいよ。」
「はい!」
団長、いい人だなぁ。
この時は、『守る』というのが『殺す』だとは思わなかった。
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