黒い瞳と薄紅色

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ラマナが言ってた、あれはどういう事なんだろう。 『何故あの時俺を殺さなかったの。』 『ナタリアーナ、俺が君を殺してしまう。本当はお互い解ってたはずだ。婚約者で君を守ると約束した。けど、俺は勝てない。ローブを返せ。』 考えても全くわからない。 ご飯を食べ終えてゴロンとしていると、トラ君がぴったりくっついてくる。 「トラ君、寒い時は呼ぶから、少し離れようか。」 暑い日に、これは拷問だわ。 「……」 「無視っ!?」 そういえば、トラ君って呼んでるけど、それはトラって生き物だからそう呼んでるんだよね。名前ないのかしら…。でも私はトラ君と名前のように呼んでるし、それでいいよね。 「トラ君、君は何歳なのかな」 そんな事は答えないのはわかってるけど、何となく質問してみた。 「13才」 「へぇ、私より年下なんだね。大きいのに。」 …ん? 何で声がするの? 左を向くと男の子が私にくっついて寝ている。 「っ!?どこから入ってきたのよっ!!」 「ずっと、隣に寝ていたのだ。」 「となり…って、え?トラ君?」 「俺は人間の姿にもなれるのだ。」 「なれるのだ…じゃなくて!おかしいでしょ!!」 「なれるのだから仕方がないのだ。」 「……」 「熱いからくっつくなっていうから、人間になったのだ。これで熱くないから、一緒に寝れるのだ。」 寝れるのだ…って、そういう問題じゃなくて。 「次、あの男が来たら噛み殺すのだ。」 「のだ、じゃないよ。」 「…あの男が来たら噛み殺す。」 「『のだ』が付いてないだけっ!…トラ君はお化けなの?」 「トラなのだ。」 「どうして人間になれるの?」 「ナタリアが俺を目覚めさせたのだ。だから、一生一緒にいるのだ。」 「私が目覚めさせる?それってハルさんじゃないの?」 「ハルは違うのだ。ナタリアなのだ。」 「『のだ』…って、語尾につけない方が格好いいよ?」 「じゃあ、付けないのである。」 大して変わらないわね。 「よくわからないけど、人間になれるようになったトラ君なのね。他の人にも人間に見えるの?」 「見えるのだ。」 「でも、トラ君はトラの姿じゃないと皆が驚くよ。」 「つまらないのだ。カシューは人間の姿なのに…」 「カシュー君…?…え?人間じゃないの?」 「アイツはジャガーなのだ。」 「じゃがー?」 「もとの姿は俺みたいな感じのヤツなのだ。団長が目覚めさせたのだ。俺も人間としてナタリアの側にいたいのだ。」
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