なのだ

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「トラ君ちょっとここで待っててくれる?団長に話があるの。」 「ついていくのだ!」 別に大した用でもないし、ついてきても大丈夫だよね。 私とトラは2人で団長に会いにいった。 「団長お願いがあるのですが…」 「ん?」 「少しお買い物に行きたいんです。メイク道具…さすがにサーカスで使ってる物を普段つけるのは辛いので。」 なかなか落ちないのはいいんだけど、さすがにずっとは無理があるのよね。 「そうだね。女の子だし、肌は綺麗な方がいいね。」 「はい。」 「出来ればメアもトラみたいに幻で見せられればいいんだけど。それだと、範囲内を万が一外れてしまうと、ナタリアの姿になってしまうから、やっぱり変装している方がいいね。」 幻とか、もう訳がわからないけど、聞きながすわ。 話し合った結果、カシュー君とトラ君が一緒に買い物に付いてきてくれる事になった。 「カシュー君てモテるんだね。」 カッコいいといって、女店主は商品をおまけしてくれた。 「トラ君は可愛いしね。」 トラ君は皆に可愛いと言われて、お菓子を沢山貰っている。 「人間にモテてもしかたねぇし。」 「オレはメアが好きになってくれたらうれしいのだ。」 「それとこれとは別だ。お前も大きくなったらわかる。」 「そんなに年は変わらないのだ。」 よくわからないけど、2人が仲良くなれそうでよかった。 「…メア、俺の後ろに下がれ。」 「ん?」 どうしたのかな。 「悪魔殺しが何人かいる。あの面倒な女もな。」 「あの女は嫌いなのだ。」 …あの人なら、ラマナがどうなったか知ってるかもしれない。 「メア、馬鹿な事考えるなよ。逃げるためにサーカスにいるんだろ?もし誰かがメアを殺そうとしたら、俺がそれを殺すように団長に命令されてる。誰も殺したくなかったら素通りしろ。」 「殺す?」 「当たり前だろ。俺達はメアが殺されない為に付いてきてんだ。」 「そうなのだ。オレが守るのだ。」 そうだよね。あのよくわからない状態の中で、命を救ってくれたのはこの3人なんだから、自分勝手に動くのはよくないわ。 「あ~、一番厄介なのがいるかもしれない。ラマナ本人だ。今も少し魔力が残ってるからメアの魔力の色が見えるかもしれない。」 「魔力の色?」 「悪魔殺しは薄紅色なんだ。」 「ラマナもだよね?」 「あれは悪魔なのだ。昨日言ったのだ。」 「メア、逃げるぞ。」 「逃げるってどうやっ…えっ!?」 カシュー君が私のウエストを捕んで軽くジャンプし、そのまま近くの家の屋根にストンと着地した。 どんな脚力をしていたら、屋根まで飛べるのよ!! ビックリして声も出ないくらいのスピードで、屋根をトントンと飛んでいく。 「トラ、もうちょっとスピードでねぇのか?」 「これでもがんばってるのだ。」 「やばい、気づかれてる。トラ、メアを連れて団長のところまで帰れ。」 自分だけ残るつもりなのか、カシュー君はトラ君に私を押し付けた。 「ちょっと待って!それじゃカシュー君はどうするの!!」 「俺は団長が来るまで何とか持ちこたえるつもり。」 「私が残るわ!狙われてるのは私なんだから、2人が逃げて!!」
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