42人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
「さぁ、サーカスが始まるから話は終了だよ。」
「解ったのだ。」
「メア、カシューとトラ信じなさい。」
「はい。」
2人の事は信用してるわ。
ただ、ブランコは怖いのよ…。なんて、今さら言えないけどね。
「よし!気持ち切り替えますっ!」
「うん、行こうか。」
「なのだっ!!」
私とトラ君がブランコのそばに行くと、カシュー君があからさまに嫌な顔をした。
「…メアとトラが一緒なのかよ。」
カシュー君も困るよね。2人も押し付けられたら。
「トラ、お前は自分で何とかしろ。俺はメアを抱える。」
「ずるいのだ。オレもメアと一緒がいいのだ。」
トラ君が『私と一緒がいい』と言って引かなかったので、結局カシュー君が私とトラ君を抱えてブランコに乗る事になった。
トラ君は肩車で私は横抱きにされている。これって大丈夫なの?
ブランコって横の紐にまったく触らないで2人抱えて出来るものなの?…ううん、もう考えるの止めよう。
「いつも檻の中から見てただけだから、楽しみなのだ。」
トラ君は私と違ってとても嬉しそうだわ。
私が動物の姿になれる人間だったら、同じ様に怖くなくなるのかしら。
「…メアっ!?」
「ん?」
呼ばれて見上げてみると、カシュー君がとても大きく見える。なんで?
「おい!元に戻れ!!急に人が消えてネコになったら変に思われるだろ!!」
「ネコ?元って何の話…?」
「ネコになってんだよっ!!」
私は自分の手を見た。
薄紅色の毛に包まれていて、先端には爪と肉球が…。
「どうしてっ!!」
「知るかよっ!!とりあえず、これもショーだって事で乗り切るぞ。団員ですらびっくりしてるからな。後で団長に相談だ…」
「はい…」
カシュー君はゲッソリしてるけど、トラ君は全然気にしてない様子…。トラ君、少しくらい気にしようよ!
ブランコが終わっても私は人間には戻れなくて、猛獣ショーに出る事も出来ずサーカスは終わった。
「団長、これ、どうしたらいい?」
カシュー君が、猫になった私を抱えて団長に相談している。
「メア、可愛い猫になったね。」
「そんな落ち着いてる場合じゃないですよ!!私はもとに戻れるんですか?」
「戻れるけど、俺には戻せないよ。」
「うそ…」
団長なら何とか出来るんじゃないかと思ってたのに。
「多分メアは、『カシューとトラの魔力』を自分の魔力にまぜたんだね。」
混ぜる?
「…よくわかりませんが、団長は色々出来るじゃないですか!これも何とかならないですか?」
「ならない。と言うか出来ない。」
終わったわ。私の人生は一生ネコなのよ。もう人生じゃなくなったわ。猫だもの。
「大丈夫なのだ。オレのちっちゃいやつなだけなのだ。」
何も大丈夫じゃないよ…。
最初のコメントを投稿しよう!