さらば

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ああ…。 もうオレにも、もうそろそろ、やって来ちまうな。 “お迎え”の時間が…。 自分のことは自分が一番よく分かってるさ。 オレに残されてる時間は、そんなに長くないってことくらいな。 今まで何も後悔がないと言えば、ウソになる。 やり残したことや、やらなきゃよかったって思うことなんて、山ほどある。 あの時こうしておけばよかった…あの時あんなこと言わなきゃよかったとか、もっと優しくしてやればよかった…なんて、後悔だらけだ。 いつも目が合えば喧嘩してばかりの腐れ縁のマサとも、もうお別れか…。 突っかかって悪いことしたな…。 マサの手がけていた大きなヤマを、横入りしたオレがぶち壊したこともあったな。 本当に悪いことをしちまった。 本人の前では謝るなんて、死んでもできねーけどな。 まあマサのことは置いとくとしても、それより何より、今はお千代との別れが一番ツラい…。 お千代は歳の頃は30半ばと言ったところ。 二十代と言っても十分通用する美貌と、抜群のスタイルの持ち主。 過去数々の女の胸に飛び込むなどのヤンチャをしてきたオレから見ても、5本の指に入る逸材だ。 だが小耳に挟んだ噂話では、お千代は長らく独り身だと聞く。 同世代の野郎どもの目は節穴なのか。
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