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朝、目が覚めると、オトさんが目玉焼きをくちゅっていた。
「お、目が覚めたか?」
まだ、ぼんやりする。ベーコンのいい匂い。オトさんが、冷蔵庫からビン入り牛乳を出して、テーブルの上のガラスのコップに入れた。
「パンには、何つける?」
「イチゴジャム」
「お、了解」
ザリッザリッって音。オトさん、塗っちゃったよ。
「じぶんで!」
「ああ、ごめんな。オトさん、勝手なことしたな。じゃ、これはオトさんが食うか……」
椅子によじ登って座る。
オトさんから焼いたパンをもらって、自分でジャムを塗る。振り返ったら、畳の部屋の奥に布団が敷いてあった。
「あー、後で準備しておかなくちゃな」
「じゅんび?」
「昼ご飯は、何食べようか?」
「うどん」
「じゃぁ、そうしよう。ご飯食べたら、着替えような」
「うん」
静かだなぁ。
フォークでベーコンと卵をゴシゴシする。うまく切れない。卵を突き刺して、お皿を寄せた。黄身がこわれてとろりと流れた。
ちょっとがっかりした。今日は、失敗。
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